石垣島の東の海岸に位置する白保村は、古くから島を代表する農村集落です。1年の祭事は農耕儀礼を中心に行われます。村の暮らしは海との繋がりも深く、祭事儀礼の中には、様々な海との関わりを見ることも出来ます。また、戦後、専業の海人が増えたことから白保海神祭も行われるようになっています。白保村には、豊穣の大地とサンゴの礁海の多彩な自然に育まれた伝統文化が今も息づいているのです。

白保の神事・祭事と奉納芸能

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白保海神祭

【旧暦5月4日】白保の豊かなイノー(礁地)の中で、航海安全、豊漁を願う。白保の海人が捕ってきた魚を揚げ魚にして振舞う。御願ハーリーや小中学生、職場対抗ハーリーが行われ、余興の舞踊、老人クラブによる宝探し競争など参加者全員が楽しむ。

 

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オースクマ

【旧暦6月の木の日】実が結びはじめた稲穂が、天気が崩れることなく無事収穫出来るようにと願う。田んぼから取ってきた稲穂を供え、東の海に向かって祈る。この日に豊年祭の日取りが決められる。

 

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白保豊年祭

【旧暦6月】3日間にわたり行われ、五穀の豊作と来夏世(クナツユ、来年)の豊穣を祈願して行われる白保最大の神事。最終日に、旗頭、白保節、ミルク行列、イリク太鼓の奉納、住民総での稲の一生の仮装行列がにぎやかに行われ、五穀の献上、大綱引きで盛り上がる。

 

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獅子舞

【旧盆の3日間】家の厄払い、住民の無病息災を願って行われる。中国より200年以上前から伝わっているといわれる獅子舞。獅子を祀っている宮良家で獅子舞をした後、村中の家々を回る。獅子に噛まれた子供は丈夫になるといわれ、乳児を獅子に噛んでもらう姿も見かける

 

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シマフサラシ

集落の無病息災と疫病よけを祈る神事。害虫などを芭蕉で作ったいかだに乗せて東の海に流す。馬の血を左縄につけ、集落の3方の入り口に掲げることで、疫病などの災いを防ぐ。馬の血のにおいで島(集落)を腐らせることで、擬似的に災いが来ているように見せかけ、新たな災いを防いだことから、島ふさらし(腐らし)と呼んだ。

 

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アラミズニンゲ

【旧暦8月 最初の水の日】明和の津波(1771年)で埋まった後、掘り起こされた真謝井戸で、司と公民館役員、井戸の場所を掘り当てた子孫の女性で、水に対する感謝の祈りを奉げる神事。旱魃の被害がなく、豊作であることを願って行われる。

 

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棒術奉納

【旧暦9月15日】伝承の由来は不明だが、明治時代より村の若者が棒術の型を伝承、昔の役所オーセ(しらほサンゴ村の前)で奉納する。気骨のある若者による棒術は気合が入って圧巻。

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種子取り祭

【旧暦11月】稲の苗が無事に田んぼに降りるようにと、司と公民館役員がオーセ(昔の役所)で願う豊作祈願の神事。稲種に悪い虫がつかないように、国道からオーセまでのカタバル道を、朝早く、怖い面をかぶった人と馬が駆け抜ける。